2020年11月18日

予算と実績

 承前
店舗運営にて得た利益の貢献度に応じて「インセンティブ」として毎月の給与に加算されるといった制度が設定されるに至ったらいよいよ短期決算といった目前の計数、利益高に目を奪われがちになるのは当然の理でありました。目先の利益を追求するあまりに原価や人件費を究極に押さえることで利益を生む、本来修理の必要な箇所も見過ごす、電球がきれていても補てんしないなど店はだんだんと荒れていきます。一〜二年程度はなんとか乗り越えられてももともと無理な仕事をしているのですからおのずとじり貧になっていきます。
 確かに年次予算も月次予算も達成していくことは資金繰り勘定上大切な事柄であることを否定するものではありません。ありませんが、そのために将来へ向かっていく経営の在り方にぶれが生じていきがちなのも一方では危機でありましょう。
 要点はここです、計数の動きには実はお客様の意識の変化や競合の存在などに左右される要素が大きいのです。目先の数字にとらわれるあまりそこに顧客視点という最も大切な仕事がだんだんとないがしろにされてきたのでしょうね雨後の筍の如く出現したチェーンレストランの多くが苦戦をしはじめ撤退を余儀なくされるといった現象が先ず関東からはじまり、次に関西、そして全国的に脱ファミリーレストランといった動きが顕著になってきます。
 肌で感じた事柄といえば以前は圧倒的な集客力を持っていた「盆」「正月」「ゴールデンウィーク」の期間が押しなべて客数減に見舞われてきていたという事、関東での現象が翌年には関西へとうつり次に地方へとその現象が起きていきました。
 企業が内部の計数管理最優先の働き方を徹底していった結果として、「顧客の存在」に疎くなり顧客をデータとしてしか見られなくなっていったのです。また、多くの店舗が出現していった結果としてどこも同じような商品であり、同じようなサービス、同じような店舗デザインとなっていきました。
 つまりは、効率を徹底的に追求していくと同質の店舗が氾濫するのは自明の理であります。
かつて「米国」に学び、少なからずの日本人の「食生活」に豊かさを提供し、手軽な「ハレの場」を演出していたチェーンの限界を知ることになるのです。多くの店舗が小さな幸せを味わっているという事はとりもなおさず当時の「顧客・・お客様」も豊かな外食という行為をリーズナブルに体験できる機会を数多く体験したという事であります。そこにも「成功の理由が失敗の理由になる」要素が隠されていたのです。

 次に現われてきた現象が「居酒屋チェーンの台頭」であります・・・・・


次回へ続きますIMG_0411.JPG


posted by 筆文字や隆庵 at 09:34| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする